すべて実体験を書いています。
3番目の娘が1歳2ヶ月の頃、喉に食べ物をつまらせ窒息しました。
救急搬送されましたが、一命をとりとめ今では元気に小学校に通っています。
無いに越したことはありませんが、もしもに備えて知識・技術として覚えておいたほうが良いことがあります。
同じ思いをされる方が無くなることを願って書き留めておきます。
子供が喉に食べ物を詰まらせ救急搬送された件。
子供が小さいうちは、何もかもが不安です。
とはいえ、3人目になってくると、ある程度やることもわかってくるし、なく声で、お腹すいたかなーとか、おむつ替えどきかなーとか、ねむくななってきたなーとかもわかってきます。
要は、子育てに余裕ができてきます。悪いことではないですが。
その油断が窒息を招いた話です。
当時消防歴15年。(現在は退職)
娘が食べ物を詰まらせ窒息
テレビに向かって床に娘と二人で座っていた。
おやつ代わりにと、パンを小さくちぎって食べさせていた。
もぐもぐしている娘を横目に、テレビに見入ってしまったタイミングがあった。
ふと、気づくと娘が軽く白目になっていた。
?
と、その直後、娘がそのまま真後ろへゆっくりと倒れていった。
倒れそうな娘を起こし抱きかかえると、目が白目だった。
顔にチアノーゼ症状が出始め、みるみるうちに手足まで青紫色になっていった。
窒息だった。
何度も何度も背部叩打法(後半で紹介)を試し、口の中を覗き込んだ。
何も見えてこなかった。
娘は全身痙攣を繰り返していた。
だめとわかって、ハンディの掃除器をもってこいと妻に叫んだ。
細いノズルを取り付け、口の中に入れてから電源をいれた。
掃除機を確認したが、唾液以外何も確認できなかった。
娘の口と鼻に、頬を近づけ息を確認するも呼吸がなく胸の上がり下がりもなかった。
口と鼻を自分の口で覆い、人工呼吸(後半で紹介)をした。
チアノーゼの改善は見られなかった。
胸の真ん中をおす、人工呼吸をする、をひたすら繰り返した。
それでも息は戻らなかった。
ただただ吠えた。
たった1年ちょっとの記憶が走馬灯のように頭を駆け巡った。
妻も嗚咽と共に泣いていた。
妻「・・・あ・・・救急車は?」
自分「・・・あ・・・呼べ!!」
妻が119番で救急車を呼んだ。
再び、胸の真ん中をおす、人工呼吸をする、をひたすら繰り返した。
気づくと、顔色が赤みがかっていた。
呼吸を確認すると、かすかに感じることができた。
眠っているようだった。
救急車が到着した。
窒息したこと、手当の内容、呼吸回復した旨を隊長に伝えた。
救急車に娘を収容し、病院を選定してもらった。
その最中、娘が突如痙攣し始め、収まると泣き出し嘔吐した。
直後、また眠ったようになった。
救急隊と妻に娘をお願いし、車で病院へ向かった。
搬送途中も、度々痙攣と眠るのを繰り返していたと聞いた。
診断名は「窒息」だった。
呼吸停止していた時間があるため、2,3日入院しての経過観察。
その間も、痙攣が何度かあった。
3日後、脳や体の異常はなく、後遺症も残らずに退院できた。
子供が喉につまらせた時にすること。
今でも思い出す度に血の気が引く感じがあります。
すべては自分がよそ見をした状態で、食べ物を娘に与えたことが原因でした。
ただ、食べ物以外でも窒息するケースは多いです。
窒息のサイン
通常、物が喉につまった時には、世界共通で行う仕草があり「窒息のサイン」というのがあります。「チョークサイン」とも呼ばれます。
ただ、小さいお子さんの場合はこの仕草はほぼ見られません。
大人であれば、咳をするように促し、自分で吐き出させるのが一番の方法です。
小さいお子さんの場合はそれも難しいです。
背部叩打法
明らかに窒息とわかる場合、には以下の順序で手当を行います。
- 自分の片腕にうつぶせにして乗せ、手のひらで顎を支える。
- 肩甲骨と肩甲骨の間を力強く5回程度叩く。
- 口の中に異物が出てきたかどうか確認する。
これを繰り返し行います。
また、ハイムリック法という方法もありますが、乳児には行ってはいけません。
※内蔵を損傷する、という記載が多いですが、内蔵を守る肋骨が未発達で、正面から見た時に肋骨よりも下側に肝臓が位置しているため損傷しやすい、という理由があります。
心肺蘇生法
背部叩打法で改善が見られず、意識がない場合、心肺蘇生法を行います。
- 自分しかいない場合・・・以下の心肺蘇生法を2分程度(胸を押す、人工呼吸をそれぞれ5回)行った後に救急車を呼ぶ
- 二人以上いる場合・・・救急車を呼ぶ人、心肺蘇生法をする人と手分けする
1反応(意識)を確認する
足の裏をくすぐるなどしながら呼びかけてみる。目を開ける、泣く等の仕草が無い場合は次へ。
2呼吸を確認する
10秒程度で胸の上がり下がりを目で確認する。無ければ次。
3胸を押す(胸骨圧迫・心臓マッサージ)
胸骨圧迫は、胸骨の下半分を中指と薬指の2本で行い、胸の厚みの1/3程度の深さまで胸部を押す。
圧迫の速さは少なくとも100回/分。
4人工呼吸
乳児の口と鼻を同時に自分の口で覆う。
吹き込みは(軽く胸が膨らむ程度に)1回1秒かけて2回行う。
5救急車がくるまで繰り返す
ざっくり心肺蘇生法について紹介しましたが、
◯歳児検診などで、乳児、小児に対する心肺蘇生法を行っていることがほとんどだと思いますので、実際に訓練人形を触って、やってみることが大事
です。
掃除機って使っていいの?
自分は使いましたが、基本的に救急講習などでは紹介していません。
その理由は、口の中を傷つけてしまったり、使い方を誤り、詰まっていたものを更に奥に押し込んでしまうこともあるためです。
ただ、実際に掃除機でとれた、というケースもあります。
参考までに、ですが、掃除機を使用する場合は、口の中にホースなどの吸う部分を入れた後に電源を入れます。
また、最近では掃除機に取り付けができる吸引器のようなものも市販されています。
救急隊、病院で使用している吸引器というものも、基本的には掃除機と原理は変わりません。
救急車って呼んでいいの?
窒息の疑い、窒息とわかっている場合すぐに呼んでください。
今ならスマホなので、すぐに119番通報して、スピーカー音量を最大にしておけば通話したまま手当をすることもできます。
手当がわからなければ、電話口で教えてくれます。
恥ずかしながら自分の場合、普段救急車に乗る側で処置する側の人間だったので、「自分で」なんとかするという頭しかありませんでした。
まして家族となると冷静ではいられないんです。
それはさておき、救急車は迷わず呼んでください。
途中で回復したらその時に再度119番すれば、途中で引き返すこともあります。
タクシー代わりの救急車の利用は控えましょう、というお知らせもありますが、窒息の場合は話は別です。
すぐに119番です。
窒息させないために気をつけたいこと。
よく例えで使うのは、サランラップなどの芯。
この穴を通るものは、子供の口に入るので、手が届くところには置かないようにしましょう、ということがあります。
直径3cm程度ですかね。窒素の原因になります。
また、
- 飴玉、ピーナッツなどは極力食べさせない
- 寝ながら、歩きながら、遊びながら、テレビを見ながら、など何かを「しながら」食事させない
など、慣れてくるとやってしまいがちなので注意が必要です。
以上色々書きましたが、今でも時々白目の娘の顔が思い浮かび、その度に血の気が引く思いをします。
同じ思いをされる方がなくなりますように。
娘のその後
病院に入院中のこと。
看護師さん
と聞かれたので、ほぼ右手になりつつあることを伝えると、右手に点滴をされ、手は包帯でぐるぐる巻きに。
必然的に左手が開くので、入院中は左手で過ごしました。
その後、丁度利き手が形成される時期だったのか、たまたまなのか、左利きになりました。
今でも左利きです。
それもあってか元気な自由人になっています。
元気に育ってくれてありがとう。
娘2号
すべて実話です。
ありがとうございました。